宇芸神社のムクロジが市指定文化財に
更新日:2015年1月15日
教育委員会では、平成22年4月28日付けで宇芸神社のムクロジを市指定文化財(天然記念物)に指定しました。
名称
宇芸神社のムクロジ
所在地
富岡市神成1178(宇芸神社境内)
所有者氏名及び住所
富岡市神成1170-2 宇芸神社 氏子総代長 梅澤 民男
指定の種類
富岡市指定 天然記念物
品質及び形状
- 樹種 ムクロジ属 ムクロジ科(無患子)
- 寸法 樹高14m、目通り周3.95m(東側幹2.20m 西側幹 1.75m)
- 枝張り 東西 13m、南北 15m
説明
ムクロジは、宇芸神社の境内南西部に位置し、樹高は14M、目通り周は3.95M、根元から1Mを超えた箇所で分岐した二本の幹が主幹となり樹冠を形成している。周囲に生育するものはなく、環境は良好である。老樹になると非常に多くの果実がなるため、肥大はあまり良くないとされるが、分岐した幹はバランスよく生育している。
西側の幹には洞(うろ)があるが、塞ぐなどの保護処置を施しているため、現在の樹勢は極めて良好である。
ムクロジは、本州の茨城から新潟県以南、四国、九州、小笠原諸島にかけての温暖な地域に分布し、半野生化する落葉高木である。大きな羽状偶数複葉を持ち、6月頃に円錐花序にたくさんの花をつける。果皮には多量のサポニンを含み、水を泡立てる働きがあるため明治時代までは洗濯などに広く利用された。また、果実の中には一つの黒い種子を含んでおり、堅くよく弾むため羽根つきの羽根の重りとして使用された。
県内に生息するムクロジは、「大胡神社のムクロジ」(前橋市指定天然記念物)・「高橋家のムクロジ」(甘楽町指定天然記念物)と宇芸神社のムクロジの3件が、現在までに巨樹として確認出来ている。
環境省が1988年から2000年までに行った巨樹・巨木林調査によると、県内で当時確認されていたムクロジとしては、大胡神社のムクロジ(樹高:25M、目通り周383cm)のみであり、幹周・樹高ともに全国的に見ても有数の規模を有している。
宇芸神社のムクロジについては、その後の専門家による調査によって、大胡神社のムクロジに匹敵する巨樹であることが明らかになった。
ムクロジが生育している宇芸神社の創建については、天武天皇の時代(672年から686年まで)と伝えられ、『延喜式神名帳』(927年)に上野国十二座のうち「甘楽郡二座」(貫前神社、宇芸神社)として記録され、平安時代後期の『上野国神名帳』(一の宮本)には、甘楽郡三十二社の中の「従一位宇芸大明神」と記載されており、平安時代に官社として認定されていた由緒ある神社である。
江戸時代の天明年間(1781年から1789年まで)には、罹災のために古記録その他が焼失したと伝えられ、天明6年(1786年)に記された『山吹日記』からは、当時は小規模な社殿であったことが伺えることから、現在の社殿はこれ以後の建築と思われる。
このムクロジと神社との関係については、いつどのような理由でこの地に植栽されたかの文献・伝承等は残されておらず、歴史的背景は明確にされていない。しかし、県内における他のムクロジと比較してみても劣ることはなく、樹齢は300年余と推定され、宇芸神社の歴史とともに歩み続けてきた貴重な名木として、市指定天然記念物に指定すべきと考える。
このページのお問い合わせ先
教育部 文化財保護課
電話番号:0274-62-1511
FAX番号:0274-64-1455