富岡製糸場(3棟)国宝指定について
登録日:2014年12月10日
「旧富岡製糸場 繰糸所、東置繭所、西置繭所」は、平成26年10月17日(金曜日)に国の文化審議会から国宝へ指定するよう文部科学大臣に答申がなされていましたが、同年12月10日の官報告示により、正式に国宝に指定されました。
左から、繰糸所(北東から)、東置繭所(東側正面から)、西置繭所(北東から)
名称・員数
旧富岡製糸場(きゅうとみおかせいしじょう)
- 重要文化財指定:平成18年7月5日
- 世界遺産登録:平成26年6月25日
繰糸所(そうしじょ)1棟
- 構造形式:木骨煉瓦造、東面玄関附属、桟瓦葺
- 建築面積:1726.92㎡
東置繭所(ひがしおきまゆじょ)1棟
- 構造形式:木骨煉瓦造、二階建、北面庇・西面及び南面ヴェランダ付、桟瓦葺
- 建築面積:1486.60㎡
西置繭所(にしおきまゆじょ)1棟
- 構造形式:木骨煉瓦造、二階建、東面及び南面ヴェランダ付、桟瓦葺
- 建築面積:1486.60㎡
所在地
群馬県富岡市富岡1番地
所有者
富岡市
構造・形式・意義
富岡製糸場は、明治政府が設立した模範的な器械製糸工場です。フランス人の生糸検査人ブリュナの企画指導のもと、横須賀造船所の技師バスティアンが図面を作成し、施工は日本人があたり、明治5年10月4日に操業を開始しました。3棟はいずれも木造の軸組に壁を煉瓦積とした木骨煉瓦造です。
繰糸所は敷地の中心に位置する繰糸(そうし)を行う建物で、桁行(けたゆき)が140メートルと長大です。キングポストトラスの小屋組や高い天井、鉄製ガラス窓で明るい大空間を実現しています。
東西の置繭所は、繰糸所と直交方向に建つ桁行104メートル、二階建、ほぼ同形の建物です。繭を乾燥、貯蔵し、乾燥のために多数の窓を持ちます。東置繭所は入口正面の建物でアーチの要石に「明治五年」の銘を刻んでいます。
旧富岡製糸場は、明治政府の産業近代化の政策を端的に物語る官営の器械製糸工場で、繰糸所と東西の置繭所は、我が国の製糸工場建築の模範となりました。
西洋、特にフランスの技術を導入し、日本固有の技術と融合させることで産業革命を成し遂げ、世界の絹文化の発展に大きく貢献した我が国の絹産業の拠点施設であり、文化史的に深い意義を有しています。
左から、繰糸所(内部)、東置繭所要石(キーストーン)
参考
- 旧富岡製糸場は、上記3棟のほかに国指定重要文化財である建造物として、「蒸気釜所(じょうきかましょ)」「鉄水溜(てつすいりゅう)」「下水竇(げすいとう)及び外竇(がいとう)」「首長館(しゅちょうかん)」「女工館(じょこうかん)」「検査人館(けんさにんかん)」があります。また、旧富岡製糸場は敷地全体が国指定史跡となっています。
- 旧富岡製糸場以外で富岡市内で国指定重要文化財である物件として、「貫前神社 本殿(ぬきさきじんじゃほんでん)」「貫前神社 拝殿(はいでん)、楼門(ろうもん)」「貫前神社 白銅月宮鑑(はくどうげっくうかん)」「貫前神社 桧垣梅雀文鏡(ひがきばいじゃくもんきょう)、竹虎文鏡(ちくこもんきょう)」「紙本著色地蔵菩薩霊験記(しほんちゃくしょくじぞうぼさつれいげんき)」「旧茂木家住宅(きゅうもてきけじゅうたく)」「妙義神社 本殿(みょうぎじんじゃほんでん)・弊殿(へいでん)・拝殿(はいでん)、唐門(からもん)、総門(そうもん)」があります。
- その他富岡市内の国登録文化財である建造物として「北甘変電所(ほっかんへんでんしょ)」「富岡市社会教育館」「割烹旅館ときわ荘(旧櫛渕家住宅(きゅうくしぶちけじゅうたく))」「富岡市講堂」「旧一ノ宮町役場庁舎」があります。
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